自分で自分を褒められるようになりたい話。

雑記

「バカみたいだ」

自分のことを考えるとき、最初に思い浮かぶことばは、いつもそれだ。

自分の中にいる自分を評価する審査員。
彼は、どうにか変わりたいと思うわたしを、頬杖をついて呆れた顔でこちらを見ている。

「それで?」

遠く、はるか上のほうから見下すように、こちらを見ては息をつく。

「もう君の涙は見飽きたよ。努力しているふりも、苦労しているようなポーズも、傷ついているような演技も、全部、何回も見た。それで?」

彼の顔をまっすぐに見れたことはあっただろうか。わたしはいつだって俯いて、浴びせられることばに傷つき、失望し、涙する。

「それで、君は何が変わったっていうんだい?」

何をしたって、結果が伴っていなければ全てが「振り」で、「ポーズ」で、「演技」でしかない。
まるで中身がなくて薄っぺらい。少し突けばしぼんでしまうように脆い。

それを全て見抜かれて、わたしは彼の前に棒立ちしたまま、俯いて、泣きそうになるのを我慢することしかできない。

「また泣くの?泣いたって何も解決しないよ」

泣くのが堪えられない自分が、情けなくて、悔しくて、棒立ちのまま、自分のボトムスを力いっぱい握る。涙が床に落ちる。
言い返したいのに、ことばを発したらさらに涙が溢れてしまいそうで、声を出したくない。

わたしは、いつだって彼と対すると、顔を上げることができなくなる。

 

ふと気づく。

わたしは彼に評価されたいと思っている。
自分の中の審査員。自分が、自分に対して下す評価。

彼は、目に見える成果を求めている。
ほんの些細な、微々たるものでは納得しない。

わたしはいつも事を急いでいる。

「これやりました!評価ください!」
「これやってみました!評価ください!」
「これできるようになりました!評価ください!」

良い評価を欲しすぎて、何度も何度も、しつこいくらいに、彼の元へ実績表を持って行くのだ。

1回行っただけでは何のコメントももらえない。だから、何回でも足を運ぶ。
一瞥されて終わることがほとんどだから、何度だって「評価ください!」って言いに行く。

当然、そんな些細なことに関心を持たれることはなく、良い評価をもらえるはずもなく、何度目かの持ち込みでようやく言われるのだ。「それで?」と。

大したことをしていないのに、そう何度も来られてもねぇ。

「評価ください!」と言ったのは自分なのに、いざ悪い評価をもらったら泣いてしまう。

「それで良い評価がもらえると思ったの?今までと大して変わらないことしかしてないのに、どうして褒めてもらえると思ったのかね」

本当に、バカみたいだ。

 

わたしは、自分に良い評価をつけることができない。

よく頑張っているとは思えないし、優秀だとも思えない。
あらゆることにおいて劣っているし、何もできなくて、とても愚かだと思う。

人から褒められて嬉しくなるのは、自分で自分を褒めることができないからなのではないか、とすら思う。

わたしは自分を責めることはできても、奮い立たせることができない。
励ますことも、褒めて伸ばすこともできない。

無理やりひねり出したような褒め方をされても、お世辞や嫌味にしか聞こえない。
自分のことでポジティブで居続けられる気がしない。

こんなわたしは、ひねくれているのだろうか。

 

わたしは、自分で自分を心から褒めてあげられる人になりたい。

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